経皮吸収は経皮毒の中でも最も日常に溶け込んでいて、今の世の中では意識しなければ避けられないでものです。
この記事の前に書いた記事では経皮吸収について詳しく書けなかったので、この記事で細かく説明したいと思います。
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皮膚の役割と構造
経皮吸収について書いていく前にまずは皮膚の役割と構造から説明していきます。
皮膚の役割
皮膚は厚さが約2ミリ以下で、皮膚組織の面積は大人の場合約1.8㎡で畳1枚分になります。
総重量は2.5~4.5キロで、皮下組織を入れると体重の16%の重さです。
血流は体循環の約3分の1を占めており、からだ全体の皮膚には毛細血管も含めた血管が約10万キロ、地球で表すと約2周半強がからだの隅々までいきわたっています。
皮膚の大きな役割は体内の組織・臓器の保護であり、弾力性や耐水性にも優れています。
さらに、気温を感知し体温を調節する温度センサー、太陽光線からの刺激、外界からの衝撃吸収、有害な細菌やウイルスなどから身体を守ってくれます。
皮膚の構造
皮膚は表皮、真皮、皮下組織の三層から成り立っており、これらは新陳代謝を繰り返しており、この皮膚の新陳代謝のサイクルを「ターンオーバー」といいます。
図の通り表皮は最も外側の層で、その表皮の最下層である基底層では絶えず細胞分裂をし新しい皮膚細胞が作られ、徐々に成長しながら平たくなって上の層に押し上げられていき、約2週間程で角質層に変わります。
角質は「ケラチン」というタンパク質の一種と「セラミド脂質」という肌に潤いを与える物質で出来ており、水分を約20%しか含んでいないこの乾いた細胞が10~15層重なって角質層を形成しています。
この角質層が基本的な皮膚のバリアー機能としてはたらき、ターンオーバー(皮膚の新陳代謝)を繰り返し、何度もこの角質が剥がれ落ち再生されることで外からの異物を侵入させないようにしています。
真皮はコラーゲン繊維でできており、結合組織が規則正しく並んだ網目構造をしていて、この構造によって皮膚は弾力性を保っています。
皮下組織は脂肪を多く含んでおり疎水性(水と混ざりにくい)の性質を持っており、その下にある血管、神経、汗腺などを保護しています。
ここからが重要で、実は脂溶性(脂に溶けやすい性質)を持つ化学物質は親水性(水に溶けやすい性質)の物質よりも吸収されやすいという研究結果がでており、角質層の皮膚バリアーをくぐり抜けた有害化学物質は、この皮下組織に含まれた脂肪に溜まっていくのです。
有害物質はどのように皮膚の中に侵入するのか?
皮膚の細胞膜はリン脂質という脂質で構成されておりこれが皮膚のバリアー機能となっています。
健康な人の皮膚は、表皮が皮脂腺から分泌された油分のバリアーで覆われているので、水滴を垂らしても、脂の膜によって吸収されずに皮膚の上で盛り上がります。
本来はこのバリアー機能が外からの有害物質の侵入を防いでいますが、怪我や病気の時に経皮吸収型の薬を使う場合には、バリアー機能が薬用成分の吸収の邪魔をしてしまいます。
そのため、バリアー機能を弱らせ薬用成分を素早く皮膚から体内に吸収させるために、溶解剤としてプロピレングリコールや合成界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)が開発されました。
これらは有害物質ですが、病気や怪我を治すことが重要先決であり、患部が治癒すれば使用する必要がなくなることから、医薬品の場合は緊急処置として一時的には安全の許容範囲内で処方され、使用されています。
ここからが問題で、シャンプーやリンス、入浴剤などの日用品、クリームやローションなどの化粧品にその溶解剤が使われるようになってしまったことです。
薬はその症状が治ったら使わなくなりますが、日用品は毎日使います。
溶解剤や合成界面活性剤をよく使うことで角質層の細胞膜が一時的に溶かされることで皮膚のバリアー機能が弱まり、そこから日用品に含まれている化学物質が侵入し、化学物質が吸収されやすい脂溶性である皮下組織に蓄積していきます。
経口吸収や粘膜吸収と違って経皮吸収の怖いところが、この皮膚への蓄積で、血液で運ばれて肝臓で解毒されないため、体外への排出率はわずか10%です。
表皮に代謝酵素の確認がされており、代謝をしている可能性が指摘されていますが、その機能は肝臓の1%にも満たないそうなので、毎日日用品を使って化学物質を取り込んでいれば、解毒機能は追いつきません。
合成界面活性剤の入っている人の手は荒れており、その手に水滴を垂らしても皮膚のバリアー機能がうまく作用していないので、水が皮膚のシワに広がっていきます。
その水滴が有害化学物質だと思うとゾッとしますが、これが今では当たり前なのです。
本来は医療用として開発された溶解剤や合成界面活性剤が今では本来と異なった目的で日用品に使われ、経皮毒となって私たちに害を与えています。
部位別経皮吸収率
私たちの皮膚はからだの部位によって角質層の厚さは異なっており、部位によって吸収率は違ってきます。
各質層が厚い部分は化学物質の吸収量が少なく、もちろん薄い部分は多くなってしまいます。
手や足の角質層の厚さはは約0.4~0.6ミリ、顔は0.1ミリ程の厚さしかないので、顔が敏感なのもわかりますね。
この画像を見てイメージしていただきたいのですが、腕の内側の吸収率を1とした時の部位別吸収率の比較ですが、上から頭が3.5倍、額が6倍、顎が13倍、手のひら0.83倍、脇の下3.6倍、背中17倍、女性の陰部42倍、かかと0.14倍です。
見てわかる通り陰部の経皮吸収率が最も高いので、入浴剤やボディーソープ、生理用品、避妊具などは特に安全性の高いものを選ばなければなりません。
背中も意外と高いので背中に皮膚トラブルを抱えている人が多いのも納得できます。
口の中や肛門などの粘膜部分は角質層がないので歯磨き粉や入浴剤に気を付けなければなりません。
今一般的に売られているほとんどの歯磨き粉には有害物質が含まれているので私は歯磨き粉を使わずに歯を磨いています。
どうしても歯磨き粉を使って磨きたいという人はこちらのショップがおすすめで、からだに優しい商品を扱っています(リンク先は歯磨き粉のページになっています)
年齢によっても経皮吸収率は違う
ステロイドを中心に小児、成人、高齢者で吸収率を検証した結果、小児の吸収率も副作用も数値が最も高く、意外なことに高齢者も成人に比べて化学物質の吸収率は高くなっています。
新生児の肌は角質層の形成が未発達で皮膚のバリアー機能は十分にはたらいていない上に、内臓もまだ未発達なため解毒機能も整っていません。
ベビー用品を購入する際は有害物質が含まれていないかを親としてしっかり確認する責任があります。
現代の子供たちにアレルギーやアトピー性皮膚炎が多いのも、身の回りに有害物質を含んだ物が溢れるようになったからだといわれています。
まとめ
皮膚は絶えずターンオーバー(皮膚の新陳代謝)を繰り返し、何度も角質層を入れ替えることで皮膚から異物を混入しないようにしています。
しかし、本来医療用として開発され、薬用成分を皮膚に浸透させるために角質層のバリアーを溶かす溶解剤や合成界面活性剤が現在では日用品に使われるようになりました。
角質層のバリアーを溶かしてそこに化学物質が入り込むことで現在では色々な人々に様々な障害が出始めています。
体の部位ごとに角質層も違うので部位ごとの経皮吸収率も違うので、角質層の薄い部位に使うに使う日用品は特に気を付ける。
赤ちゃんは角質層のバリアーも、内臓の解毒能力も未発達なため、赤ちゃんに使う製品は親としての責任をしっかりともって選びましょう!
あなたの健康を願っています。