こちらの記事の続きになります。
今回は格闘技のジムとの出会いと練習についてなどを書きたいと思います。
主に格闘技について書いているので、興味のある人や経験者の方にとっては面白い発見があるかもしれません。
最高のジムとの出会い
難病の潰瘍性大腸炎になり、カナダに来ることを決めた最初の頃は、「格闘技はできたらいいな」程度に思っていましたが、来てから2週間ぐらいしてもう格闘技をやりたくなっていました。
日本にいる時は週に5~6回練習をしていたので、身体を長期間動かさないのに耐えられませんでした。
私がしている格闘技は総合格闘技といって、パンチ・キック、投げ、タックル、寝技、グラウンドでの打撃(寝ている相手を殴ってもよい)がありのほぼ喧嘩のような格闘技で、英語だとMMA(Mixed Martial Arts)といいます。
1日バンクーバーで口コミを見ながらMMAのジムを探しみて何個か目星を付け、ドミトリーにいる人にどこがおすすめか聞いてみました。
聞いてみるとFKPMMAというジムをすすめられて、そこは調べた時にもバンクーバーのジムの中でもかなり評判がよかったところです。
格闘技のジムは大きく分けて2種類のタイプがあり、一つはそんなに練習がキツくなく、強くなるというよりもエクササイズ的な感じのジムと、もう一つは練習がキツく、会員さんにしっかり強くなってもらおうと指導しているジムです。
私はそれなりに格闘技の経験はあるので、そのときは英語があまりわからなくても、ホームページの雰囲気でなんとなくどちらのタイプか察しがつきました。
しかし実際に行ってみないとわからないので、すぐに電話で行くことを伝え、体験に行きました。
リンクを貼っておきますので、格闘技をしているか、興味がある人でバンクーバーに行く際はぜひ訪れてみてください。
短期でも練習ができるのでおすすめします。
http://www.fkpmmavancouver.com/
ジムで着替えて少しジムを見学していると、コーチのFrankoが話しかけてきました。
彼は宮本武蔵が好きで、武蔵を題材にした漫画であるバガボンドの絵の切り抜いたものが壁に貼ってあったり、英語で書かれた武蔵の言葉が壁にプリントされていました。
日本にも何度か来たことがあって日本の事を色々と知っていました。
トイレにはジャッキーチェンとの写真もあり、「この人何者だ⁉」と思いました。
一番左が若かりし頃のFranco。
他にも日本人の少し前の世代のトップファイターたちと練習していた写真もあり、親近感を感じました。
そして、クラスが始まると・・・
私は衝撃を受けました
私は最初にキックボクシングの動きと筋トレを組み合わせて様々な動きをする、Kickboxing Conditioningというクラスに参加したのですが、老若男女様々な人達がプロや試合している人たちとともにとてもハードな練習をしているのです。
北米には健康意識の高い人も多いですが、基本的に食べ物の量が多く、油や調味料も日本と比べて多く使われているので、太っている人も多くいます。
そんな太った人たちもとてもキツそうでしたが、何とかそのハードな練習についていっているのです!
私はしばらく運動をしていなかったので、かなり体力が落ちていて、ぶっちゃけついていくのに必死でした。
それでもなんとかついていって無事に終わりましたが、この時に北米の格闘技の強さを感じました。
ここで行われている練習を日本の一般会員さんのクラスで行ったらほとんどの人が続かずに辞めていくと思います。
日本では基本的に一般会員さんとプロの練習は分けて行われていて、一般会員さんでもある程度のレベルになったり、試合をするような人たちがプロの人に混じって練習をしたりします。
練習がキツ過ぎて会員さんが続かないと、ビジネスとして格闘技のジムが成り立たないからです。
こちらでもキツい分辞める人も多いかと思いますが、それよりも入ってくる人の方が多いです。
日本よりも圧倒的な格闘技の需要を感じました。
日本でももちろんプロの人も一般のクラスに参加しますが、正直辛いと感じることは無いと思います。
しかしここではごく当たり前にプロの人も疲れる程の練習を、ちょっと太めのおじさんやおばさんたちも混じって行っているのです。
そして次が待ちに待ったMMAのクラスです。
日本でもそうですが、格闘技のジムでは経験者の部外者が来ると、「道場破り」的な感じで最初に敵視する傾向にあります。
もちろんここでもそうで、私の動きを見て初心者では無いのは一発でバレてるので、強そうな人たちが送ってくる視線に気づいていました。
技術の違い
基本的にクラスの流れとしては、最初にウォーミングアップ(これもなかなかハード)➡コーチのテクニックレクチャー➡テクニックの反復練習➡スパーリング、という流れです。
正直トップ選手以外みんな大きいだけで、細かい技術なんて使ってないだろうと思いましたが、目から鱗のテクニックに衝撃を受けました。
日本では柔道や空手が盛んなので、自然とそれらの格闘技の経験者がMMAに転向することが多く、柔道や空手の技術がMMAに応用されているケースが多いです。
アメリカやカナダなどの北米では、ボクシングとレスリングが盛んであり、これらの技術が特に特化していて、私が日本にいる時に世界の選手の動きを見ていて、喉から出るほど知りたかったテクニックです。
コーチのFrankoがとても細かいところまで説明してるのに、この時はなんて言ってるかさっぱりわかりませんでしたが、見てるだけでも教えてもらっている技術が日本ではほとんど知られていない技術だとわかりました。
テクニックレクチャーが終わり、スパーリング(実践を想定した練習で、パートナーと組んで殴ったり蹴ったりと実戦さながらの闘う練習)の時間になると、コーチが私に強そうな選手たちを当ててきました。
私も見せつけてやろうと集中して練習し、久しぶりにしてはいいパフォーマンスができたと思います。
スパーリングした人の1人と、後で仲良くなって話した時に、「あの時はFrankoに試して来いって言われたよ」と言っていました笑
練習後にここの代表で、コーチであるFrancoと話していて、私が病気になって格闘技の試合をしばらく休むことや、辛かったことを話しているうちに泣いてしまいました。
下手くそな英語でなんとか気持ちを伝えたら、普通の人にはわからないファイターとしての辛い気持ち理解してくれ、この日初めて会ったのにも関わらず、私をとても優しく慰めてくれました。
こちらでの生活状況を聞かれた際に、まだ仕事は見つかっていないと伝えると、「とりあえず2週間はお金いらないから練習に来い」と言ってくれました。
さらに、彼自身も持病を持っており、専属のお医者さんがいます。
そして彼は日本にはほとんどいない自然療法医の人で、その人にも合わせたいと言ってくれたのです。
この日はとにかく感謝の気持ちいっぱいで帰路につきました。
自然療法の専門家との出会い
それからすぐにFrancoは、「これから先生に往診してもらうからジムに来なよ」と呼んでくれました。
その自然療法の先生は基本的には往診という形をとっていて、彼の患者の所に行くという形を取っています。
正式にいうと医者ではなく、 ホリスティック医学(自然治癒力を上げてその病気を治そうとする医学)に基づいて指導をするエデュケーター(教育者)で、顧客の家や指定された場所に行って話を聞き、そこから判断して、食事やサプリメントのアドバイスをするという形です。
カナダの、特にバンクーバーではこ自然医療の分野が発達していると聞いていたので、まさか来て1ヶ月以内にそんな人と会えるとは思ってもいませんでした。
Francoの診断が終わり、私の時間が来ました。
凄く落ち着いていて、かつフランクな印象を受けました。
最初に症状を伝え、もちろん潰瘍性大腸炎(UC)のことは知っていました。
北米では日本よりもUCの患者が多いです(このことからも北米式の食事がよくないのがわかりますね)
その後に食事の指導を受け、毎朝スペシャルスムージーを飲むようにアドバイスをいただきました。
この日はこれで終わり、アドバイスしてもらったことを実行してみて、しばらく様子を見ることになりました。
コーチからのギフト
それから2日後ぐらいに昼間Francoに呼ばれてジムに集合してから格闘技ショップに行きました。
店の名前的にもお店の人の雰囲気的にも日系のカナダ人の人が運営している感じでしたが、日本語は通じませんでした。
そこでFrancoは私に自分用のグローブとレガース(足に付ける防具)、さらにグローブまで買ってくれたのです。
日本から自分の道具を持ってくる余裕がなく、それまではジムに置いてあるものを借りて使っていたのですが、彼は私に「お前は自分用のやつを持て」といって買ってくれました。
本当になんて言っていいかわからないぐらいの感謝の気持ちでいっぱいで、それと同時にカナダでもしっかりと練習するモチベーションが一気に上がりました。
さらに、このあとサプリメントのショップに寄って、ホリスティックの先生に教えてもらったスムージーに必要なサプリメントや浄水ポットなども購入してくれました・・・
かなり昔から続いてそうな健康食品のお店
2枚目は画像が汚くてすみません。
スムージーについてはまた別の機会に詳しく紹介します。
何から何まで面倒を見てもらって、まだまだ自分の気持ちを伝えることができなかったので、とにかく感謝するしかありませんでした。
この時に「今まで格闘技を真剣にやってきてよかった」と思ったと同時に、「必ず何か結果を残して、日本に帰るまでに恩返しをしよう」と心に決めました。
ファイターにとって、応援してくれる人への一番の恩返しは勝つことです。
もうこの時には病気がどうこうというよりも、彼の気持ちに応えようという想いの方が勝っていました。
どんどんカナダ生活のモチベーションが上がって、あとやるべきことは、賃貸で借りる家と仕事を見つけることでした。
次回はその仕事について書きたいと思います。
皆様の健康を願っています。