食品のパッケージ裏を見ると、とても多くの食品に酸化防止剤が使われています。
添加物の中でも特に多く使われている部類です。
今回は、この酸化防止剤が私たちの身体にとって危険なのか?を調べて書いていきます。
酸化防止剤の役割
「酸化」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは物質が酸素と結合することです。
食品が酸化してしまうと、上の画像左のリンゴのように、変色し、風味が悪くなり、栄養価が低下してしまいます。
さらに、油脂類が酸化すると、色や風味が悪くなるだけではなく、酸化によって「過酸化物質」という物質に変化し、これが体内に入ると消化器に悪影響を及ぼすことがあります。
酸化防止剤にはこれらの現象を防ぐ効果があり、酸化防止剤を添加することで、それが食品成分に代わって自らが酸化され、食品の酸化を防ぐことができるのです。
そのため、多くの食品には酸化防止剤が添加されています。
ビタミンCは酸化防止剤として使われている有名な成分ですが、自然に存在する物資なので危険性は少ないです。
酸化防止剤の中には、体内に入ると有害になる可能性の高いものがあるので、ぜひそういったものを覚えて、避けていただきたいです。
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
この添加物は毒性が強く、「最終食品の完成前にエチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウムにしなければならない」という使用条件がついています。
略称は「EDTA-Na」で、缶詰やビン詰の他、石鹸やボディーソープなどに、石鹸カスができるのを防ぐ目的にも使われます。
マウスに、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを1%含むエサを205日間食べさせた実験では、マウスの成長が悪くなり、白血球や赤血球が減りました。
また、血液中のカルシウムが増えて骨や歯に異常が見られました。
他にも、受精卵に注射した実験では、量が多くなるにつれて孵化(ふか)率が悪くなり、形態異常(生き物の臓器や個体が正常な形から大きく外れている状態)が見られました。
妊娠ラットに注射した実験では、胎児が死亡したほか、指の数が増える、尾が2本になるなどの異常が見られたそうです。
これは注射による実験ですが、催奇形性(お腹の子に先天性障害をもたらす毒性)が疑われています。
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
いきなり酷な話ですが、BHAには発ガン性があることが認められています。
30年以上も前にBHAには発ガン性があることがわかっていますが、いまだに使われています。
名古屋市立大学の研究グループが、ラットにBHAを0.5%および2%含むエサを2年間与えて育てた実験では、2%群で前胃(ぜんい:特定の動物が持つ胃の前半部)にガンが発生しました。
そこで当時の厚生省(現厚生労働省)はBHAの使用を禁止することにしました。
ところが、BHAを色々な食品に使用していたアメリカやヨーロッパの国々からクレームが来ました。
理由は、もし日本でBHAの使用を禁止すると、それらの国々の人々に不安と動揺が広がるからでした。
本来であれば日本政府は当初の予定通りにBHAの国内での使用を禁止すべきなのに、外圧を受け入れて禁止の方針を変えました。
しかし、発ガン性のあることがわかっているので安易に使用を認めるわけにはいかないので、日本政府はある案を考え出しました。
それは、BHAを添加できる食品を
ヤシ油である、「パーム原料油」と「パーム核原料油」に限定して、それらから作られた油脂には「BHAを含有するものであってはならない」という条件を付けました。
これはどういうことかというと、BHAをパーム油脂の原料には使えるが、パーム油脂を作った際にはBHAが含有されていてはいけないので、実際にはBHAの使用はほとんどなくなり、その害はなくなるということです。
ところが、1994年4月にこれらの条件が突然撤廃され、BHAを油脂やバター、魚介乾製品や魚介冷凍食品などの水産加工品に使えるようになりました。
さらに、それらの製品にBHAが「残存してもかまわない」ということになりました。
この撤廃理由を厚生省は、「人間には前胃がなく、ガンを起こすかは不明」という理由で説明しました。
BHAに発ガン性があるのは事実なので、厚生省の義務として、本来国民の健康の事を考えれば使用を禁止すべきだと思います。
果たして裏でどことどのようなやり取りがあったのかは誰かが暴露しない限りベールに包まれたままです・・・
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
BHTはBHAとほぼ同じ製品に使われていて、油脂、バター、魚介塩蔵品、魚介乾製品、魚介冷凍品、鯨肉冷凍品、チューインガムなどに使われています。
リップスティックや化粧品にも使われています。
動物実験で「肝臓にガンを発生させる」という結果が出ましたが、別の実験ではガンが発生しなかったので、今でも使用は認められています。
BHTは催奇形性の疑いもあり、ラットにBHT0.1 %をラードとともにエサに混ぜて食べさせた実験では、そのエサを食べて妊娠したメスのラットから無眼症の子供が生まれました。
このBHTは、特にお腹の赤ちゃんに影響を与える可能性があるので、妊婦の人は避けた方がいいと思います。
ビタミンC
レモンに含まれることで有名な、多くの果物や野菜に含まれているあのビタミンCです。
別名「L-アスコルビン酸」ともいい、簡略名は「V・C」です。
果物や野菜に含まれているのは天然成分ですが、その化学構造がわかっていて、現在添加物として使われているもののほとんどは、ブドウ糖から人工的に化学合成されています。
お茶飲料、清涼飲料水、果実加工品、漬物、ジャム、ハム・ソーセージ、惣菜、パンなど、とても多くの食品に使われています。
ビタミンCなので、栄養として、栄養強化剤の名称で添加されることもあります。
食品は空気中にさらされると、酸素と結合し酸化し、風味が悪くなったり、変色したりします。
ビタミンCには還元作用(物質から酸素を奪う反応)があり、酸化を防ぐ働きがあるので、「酸化防止剤」として使用されているのです。
ビタミンCの急性毒性(大量摂取した時の毒性)は非常に弱く、慢性毒性も認められていません。
大人が1日1gを3ヶ月摂り続けても異常は見られませんでした。
ただし、1日6gと大量に摂ると、気分が悪くなったり、吐いたり下痢をするなどの症状が見らました。
幼児では、皮膚に発疹が見られました。
普段の食事でそのような量を摂ることはまずないので、気にすることはないです。
ビタミンCが酸化防止剤として使われた時には「酸化防止剤(ビタミンC)」と表記されますが、先に述べた栄養強化剤として使われた時には、「表示免除」となります。
表示免除については詳しくはこちらで書いています。
これをもちろん企業は上手に使います。
ほとんどのペットボトルのお茶には、お茶が酸化して風味や色が変わるのを防ぐために酸化防止剤としてビタミンCが添加されています。
しかし、パッケージの原材料の表示には、「ビタミンC」としか書いてありません。
これは、栄養強化剤としてメーカーが添加していることを意図的に表示している証拠です。
栄養強化剤として使われた場合には表示免除をすることができますが、メーカーが自主的に表示することも可能です。
ですから、本来は酸化防止剤としてビタミンCを使用していますが、「酸化防止剤」として使っていることを表示すると、消費者に対して添加物を使っているようで印象が悪いです。
だから、栄養強化剤としても使えるビタミンCの用途を栄養強化剤とし、ビタミンCとだけ表示することで、消費者への印象を良くしています。
このように表示の印象を変えているケースは他にもあると考えていいでしょう。
企業は賢いですね。
ビタミンCはL-アスコルビン酸とも呼ばれますが、細かく種類があり、「L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル」、「L-アスコルビン酸ナトリウム」、「L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル」が使用されていることもあります。
これらもビタミンCと表記することが認められています。
L-アスコルビン酸ステアリン酸エステルは油によく溶けるので、油脂、バター、チーズなどによく使われていて、こういった製品の表示にビタミンCと書いてあったら、この添加物が使われている可能性が高いです。
毒性はL-アスコルビン酸と同じで、急性毒性はほとんどなく、ラットに体重1㎏あたり3gを口から与えた実験では、悪影響は見られなかったので、安全性は高いと言えます。
L-アスコルビン酸パルミチン酸エステルは、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステルと物質的に似ていて、安全性も問題ないと言われています。
L-アスコルビン酸ナトリウムは、名前の通りL-アスコルビン酸にナトリウムが結合したもので、酸味が少なく、水に溶けやすいため、使いやすいです。
ハムやソーセージなどに使われていて、毒性はL-アスコルビン酸とほぼ同じなので安全性が高いです。
ナトリウムと結合しているので、ナトリウムを同時に摂取することになりますが、微量なので問題は無いと思われます。
気になるところといったらそれぐらいです。
ビタミンE
アーモンドに含まれていることで有名なビタミンEですが、多くの植物の体内に存在していて、種子などの油脂成分の不必要な酸化を防いでいます。
特に小麦胚芽には多く含まれています。
植物油脂から分離、精製して作られる方法と、化学合成によって作られるものあります。
簡略名は「V・E」、化学名は、「d-a-トコフェロール」といい、医薬品にも使われています。
添加物として使う場合には、「酸化防止の目的以外には使用してはならない」という条件があります(一部例外あり)。
つまり、ビタミンEは栄養強化剤としては使えないということです。
油を含む食品が酸化すると、過酸化物質という有害な物質ができることがあります。
古い油を使った料理や、魚の干物を食べると下痢を起こすことがありますが、この過酸化脂質が原因となっていることが多いです。
ビタミンEは酸化を防ぎ、油に溶けやすいので、インスタントラーメン、カップ麺、食用油、バター、マーガリン、スナック菓子、冷凍食品、にぼしなどの酸化防止に使われています。
急性毒性は極めて弱く、ラットに長期間口から与えても異常は見られませんでした。
人間に1日1gを1か月間口から与えても、副作用が見られなかったという報告もあります。
ただし、1日に2~4gを33日間口から与えた実験では、瞬発的な動きの時に使われる、「クレアチンという」本来筋肉中にある物質が、尿に混じったという報告もあります。
この時にビタミンEの投与を中止したところ、その状態は完全になくなり、心臓やコレステロール量、肝機能に異常は見られませんでした。
ほとんど毒性のないビタミンEでも、摂りすぎるとなにかしら問題が出てくるということです。
しかし、この実験のような量のビタミンEを摂取することはないので心配する必要はないです。
酸化防止剤の現状
現在では消費者の添加物に対する意識が高まってきているので、メーカーは酸化防止剤としてビタミンC(L-アスコルビン酸)やビタミンE(d-a-トコフェロール)を使う傾向が高まってきています。
それでも、加工食品のパッケージの表示を見ていると、BHAやBHTのような危険性のある添加物を使っている食品をたまに見かけるので、しっかりとパッケージの裏を見て商品を取捨選択する癖をつけていただきたいです。
チェックした時にその添加物がわからなければ、余裕のある時にはスマホで調べられますし、やけに長い化学名のような添加物が使われていたらとりあえず避けましょう。
ビタミンCやビタミンEが使われている場合でも、安全性が高いとはいえ、人工的に合成されているので、理想を言えば、真空パックになっていたりなど、保存技術を使って酸化を防いでいる商品を選べたらいいですね。
あなたの健康を願っています。
引用元
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