今回はこちらの記事で少し紹介した食物酵素について書いていきます。
食物酵素とは?
酵素を豊富に含む食物を摂取するとからだにどんな作用があるのでしょうか?
生の動植物には多くの酵素が存在しており、これを「食物酵素」といいます。
これは、人間の体内で作られる体内酵素(潜在酵素)に対してそとから得る酵素なので、「体外酵素」とも呼ばれています。
この酵素は非常に熱に弱く、48度の時には2時間、50度の時には20分、53度の時には2分の過熱で酵素の効果は無くなってしまいます。
しかし酵素は適度な熱を与えると活性化し、それは44~50度といわれています。
50度洗いという洗い方があり、肉・魚、野菜・果物などを50度のお湯で洗うというもので、これは食物酵素を活性化させることで食べ物が新鮮になる理にかなった洗い方です。
ちなみに、この酵素を活性化させるのを逆に利用したのが冷凍で、酵素は凍ることで失活し、酵素の活動がなくなるので腐らなくなります。
酵素の含んだ食べ物を食べると起こる事前消化
「潜在酵素の量が寿命を決めている」と別の記事で述べましたが、人間の体は、死んだ時に土に還るための機能が備わっています。
関連記事
その機能は人間の体内酵素によって行われています。
この食物酵素のはたらきについて「酵素研究の祖」であるエドワード・ハウエル博士は、「事前消化」と呼んでいます。
酵素を含む食物でも同じで、その食物が噛み砕かれて細胞が破られた瞬間からその機能が発揮されます(よく噛むことの重要性がわかります)
これは人間の消化酵素がはたらき始めるよりも早く起こるので、この事前消化で食べ物がある程度分解されることによって、自分の消化酵素を使って消化をする時には消化酵素の消費を抑えることができるので、「消化の負担が減る」のです。
ここで節約された分の消化酵素は代謝酵素に回されます。
そしてこれが健康と長生きの秘訣に関わってくるのです。
酵素を多く含んだ食事をすると?
酵素を多く含んだ食物を摂取すると消化の負担が減ると述べましたが、栄養をスムーズに吸収することもできるので、食べたものがすぐにエネルギー源となります。
そうなることで、体内酵素の浪費が抑えられる上に、代謝がスムーズになることで元気になります。
消化がよい食事をすることで腸内腐敗を減らすこともでき、「腸管免疫」の向上にもつながります。
関連記事
そのはたらきが、免疫力を強くする最大の要因である「短鎖脂肪酸(大腸内で善玉菌の酵素による食物繊維の発酵によってできる物質)」の生成を促します。
さらに血液もサラサラになり、微小循環(毛細血管の血流のこと)が良くなります。
主な血液の役割は酸素とブドウ糖・アミノ酸・脂肪酸・ビタミン・ミネラル・酵素などの栄養素の「運搬」、pH・ホルモン・体温などを一定にする(緩衝)、そして病原体や異物からからだを守る「防御」です。
心臓から送り出された血液は10万キロメートル(地球2周半)という長さの血管を流れており、酸素や栄養素を細胞に供給し、心臓に戻るときには二酸化炭素や体内の老廃物を持ち帰ります。
この血管の93%が毛細血管であり、これが細胞の代謝を支えています。
しかし、血漿(赤血球・白血球・血小板を除いた液体成分)内が高タンパクになったり、悪い油(酸化油脂など)、糖化タンパク(ショ糖とタンパク質がくっついたもので、老化の原因物質といわれている)が増えると、一つ一つバラバラであった赤血球の間にそれらの物質が入り込んで糊の役割をしつなげてしまいます。
これをルロー(連銭形成)といい、赤血球は2個つながっただけでも毛細血管を通れなくなってしまいます。
さらに、赤血球に腐敗菌が付着し球状になってしまったものをアキャンソサイトといい、こうなってしまうと血液がドロドロになり、微小循環が悪化することで全身に酸素と栄養素が回らなくなって、細胞組織は飢餓状態になってしまいます。
このような微小循環不良が様々な病気を引き起こします。
特に脳、腎臓、目、子宮、卵巣などの血液循環が必要な臓器は大きなダメージを受けます。
痔や手足の冷え症に始まり、脳梗塞、眼疾患、腎臓病、下肢静脈瘤、卵巣腫瘍、子宮筋腫などはこの微小循環不良から起こるといわれています。
ガンにももちろん関係しており、組織が飢餓状態や酸素不足になることによって活性酸素が出現し、この活性酸素が細胞核の中のDNAを傷つけたり、破壊したりすることで突然変異をし、そこから細胞のガン化につながります。
呼吸酵素(チトクローム)を発見してノーベル生理学・医学賞を受賞したドイツのオットー・ワールブルグ博士は
「ガンは、まず酵素のないところに生ずる」
と述べています。
赤血球がつながってしまったルローをほどくのは代謝酵素ですが、食物酵素もルローをほどきます。
微小循環を良くするには酵素の入った食べ物を食べることが最善の方法であり、その食物とは「生」のものと、「発酵物」です。
生の力を使った食事
酵素は胃酸で失活するという説がありますが、日本の酵素研究の第一人者、鶴見隆史氏は、
「酵素は、胃酸で失活しないものと、胃酸で失活したように見えて小腸で蘇り活動するものの2種類があり、胃酸で完全失活する酵素はありません」
といっています。
食物酵素には事前消化とは別に、組み合わせによっては一緒に食べる食べ物の消化を助ける力があります。
南中央アフリカの原住民たちは、パパイアの葉に肉を包み込んで放置してから調理をします。
彼らはパパイアに含まれるタンパク質分解酵素であるパパインが肉を柔らかくすることを経験で知っています。
酢豚に入っているパイナップルにも、タンパク質分解酵素であるプロメリンが豊富に含まれています。
しかし、このプロメリンは熱に弱く、高温で炒めると熱により酵素が死んでしまうため、炒め終わった後にサッといれてすぐに盛り付けるのがいいでしょう。
日本にもサンマやサバなどの焼き魚料理に大根おろしを添えますが、これも理にかなっています。
大根おろしには100種類以上の酵素が含まれており、デンプンの分解にはアミラーゼ(ジアスターゼ)、タンパク質の分解にはプロテアーゼやセテラーゼ、脂質の分解にはリパーゼがはたらきます。
さらに活性酸素分解酵素であるカタラーゼ、ガン物質分解酵素のオキシターゼも含まれています。
魚の焦げはガンの原因とされているので、ここでも大根おろしの効果が発揮されます。
大根をおろした際は、汁にもたくさんの酵素が含まれていますので、捨てずにしっかり飲みましょう。
三大栄養素の消化を助けるだけでなく、ガンや活性酸素の除去にも効果があるなんて万能過ぎますね笑
山芋にもアミラーゼやカタラーゼが含まれており、とろろごはんにすると、アミラーゼがごはんのデンプンの消化を助けるので、消化がよくなります。
外国の料理でも、生ハムメロンやステーキのパイナップル添えなど、タンパク質分解酵素の力を利用した食事法があり、多くの果物にはタンパク質を分解する酵素が含まれていることがわかります。
まとめ
食物酵素(体外酵素)を豊富に含んでいる食べ物を食べることで食事の際に消化酵素を使うのを抑えることができ、からだは抑えた分の酵素を代謝酵素に使うことができるようになります。
それによってからだの不調も少なくなり、病気になりにくくなります。
さらに酵素の多い食事は微小循環を良くし、血液をサラサラにしてくれるので、これも様々な病気の予防になります。
食物酵素は、食べ物の組み合わせによってもその組み合わせた食べ物の消化を助けるものもあります(例:焼き魚や天ぷらなどの料理と大根おろし)
生の食物に含まれる食物酵素は絶大なる力をもっていますので、野菜を食べる習慣の無い人はまずはサラダを食べるところから始めてみましょう!!
あなたの健康を願っています。