この記事は経皮毒の記事の続きになりますのでこちらから先に読んでいただいた方がわかりやすいです。
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有害物質は様々な経路から体内に入ってきます。
それは、口から入る経口吸収、呼吸による吸入、そして皮膚から吸収される経皮吸収です。
この記事では日用品の化学物質がどのように体に侵入していくかを書いていきたいと思います。
経口吸収
経口吸収とは口から食べ物や医薬品などを取り込んだ時に食べ物などに化学物質が含まれている場合、同時に体内に取り込んでしまうことです。
私たちのからだは長い人類の歴史の中で毒物が口から入ってこないように五感を使って危険の有無を判断し、口に物を入れる前にはその物の色、形、においなどで判断し、口に入れたら味や感触でさらに安全かどうかの確認をします。
経験がある人もいるかもしれませんが、危険なものを万が一飲み込んでしまった場合もからだが異常を感じたら、消化器官が危険を察知して嘔吐や下痢などの反応を起こしてその物質を無理やり排除しようとします。
肝臓による解毒
体の防御反応によっても有害物質を排泄できず、消化器官から侵入してしまった毒物は肝臓の代謝酵素によりその90%が解毒されます。
このようにからだにとって有害な物質が肝臓を通って、そこで代謝・分解され血液中に入ることを防ぐはたらきを「初回通過効果」といいます。
薬を服用する際もこの初回通過効果を受けるので、この点を考慮して薬の服用量が処方されていて、初回通過効果によって薬効が期待できない薬物は注射を使ったりなど他の投与方法によって投与されます。
しかしいくら肝臓で解毒されるとはいえ毎日繰り返し有害物質を口に入れていれば血液中に侵入した化学物質がからだの中を循環し、からだ中の臓器や器官に蓄積されていきます。
臓器が未発達な新生児や乳幼児、肝臓に障害があり肝機能が低下している人は特に注意が必要です。
粘膜吸収(吸入)
粘膜吸収とは呼吸によって有害化学物質を吸入してからだに有害物質を取り込んでしまうことです。
呼吸によって体内に入った有害物質は、肺から心臓を経て直接血液循環にのって体内に吸収されてしまうので、有害成分が肝臓での初回通過効果による代謝・分解を受けずにに毒性の強いまま血液中に流れてしまうことになります。
粘膜吸収による有名な被害は建築材として使われていて後から被害が出て問題になったアスベストや、プラスチックなどを焼却した際に発生し、車の排気ガスにも含まれているダイオキシンです。
ダイオキシンは体内に入ると環境ホルモン(内分泌かく乱物質)としてもからだに作用し、本来のホルモン作用に影響を与えてしまいます。
どちらも発ガン性があるのを人々は認識していますが、社会問題になるまでは人々は気にしていませんでした。
建築材による被害としてシックハウス症候群というものがあり、これは有害化学物質を含んだ建材や内装材を使用した家に住むことで、建築材が発する有害物質により室内が空気汚染され、それを生活の中で吸収し続けたことによる健康被害のことです。
頭痛、吐き気、動悸などの肉体的症状や、神経が冒されたり発ガン性や子供たちの生殖器に障害を起こす可能性もあるといわれています。
日常生活での粘膜吸収
都市部でないところの空気が綺麗な事は誰もがわかっていると思いますが、都会に住んでいる人は大気汚染により外で歩いているだけで有害物質を吸収してしまっています…
そ と日常で最も身近な粘膜吸収をしやすい状況はタバコの煙です。
タバコの煙には4000種類以上の化学物質が含まれていて、その中に含まれる有害物質はなんと200種類以上、発がん性物質は約50種類以上含まれています。
自分が吸わなくてもそれだけの物質を吸ってしまうリスクが身近に潜んでいるのです。
最近では分煙が進んでいますが、私が住んでいたカナダは喫煙が厳しく、日常でタバコの臭いを感じることはほとんどありませんでした。
色々な外国人の方に聞いてみても、喫煙に対して厳しい国が多かったです。
それにタバコ一箱1000円以上する国が多く、そういった国の人は吸いたくても高いのでなかなか吸えません。
その点日本では半分以下の値段で買えるのでまだまだ普通の人にも手が届く値段です。
東京オリンピックに向けてもっと分煙も進み、タバコの値上げの話も出ているので数年後には喫煙者は今より減っているかもしれませんね。
ただ、タバコは税負担率が6割と高く喫煙者は吸わない人より多くの税金を払ってるので、私はあまり邪険にはしていません。
においを感じた時点で粘膜吸収となってしまうので、タバコを吸いやすい人たちが集まりやすい場所を避け、妊婦の方は特にそういった場所に気を付けて生活するようにしましょう。
他にも粘膜吸収してしまう日用品としては電子蚊取り、芳香剤、衣類の防虫剤、乾燥材・除湿剤、消臭剤、壁紙や塗料、殺虫剤などのスプレー類全般などがあります。
これらの日用品の化学物質の濃度が例え低くとも毎日からだに吸収されていたら何かしらからだに悪影響を及ぼす可能性がありますし、経口吸収やこれから述べる経皮吸収との複合的な危険性も考えなければなりません。
経皮吸収
経皮吸収は皮膚から化学物質が侵入することで、医療の世界では今この性質を利用して経皮吸収型の薬がどんどん開発されています。
日常でもピップエレキバンや市販の湿布などもこの経皮吸収を利用して作られています。
今では研究が進み、薬剤成分をからだに早く吸収させるための運搬役として分子量の小さな化学物質(代表的なものでプロピレングリコールやラウリル硫酸ナトリウム)をパッドに染み込ませており、使用後3秒ほどで効果があるそうです。
飲み薬は飲んでから消化されて吸収されるまでに時間がかかるので、今では肌から直接吸収する経皮吸収が最も薬の成分を早くからだに取り込むための手段となっています。
しかし私はこれをあまりよい傾向だとは思っていません。
飲み薬の場合は肝臓である程度解毒されますが、経皮吸収は肝臓による初回通過効果の過程を経ずに化学物質がからだに入ってしまうのでますますからだが化学物質に冒されてしまうと思います。
経皮吸収が今回紹介した3つの侵入経路の中で最も身近な存在であり、深刻なので、経皮吸収についてはまた別の記事で詳しく説明したいと思います。
まとめ
経皮毒として化学物質が体内に侵入してしまうルートは、口から食べ物や医薬品などと共に入ってくる経口吸収、呼吸によって排気ガスやタバコの煙などの化学物質が肺や鼻の粘膜に吸着することで吸収される粘膜吸収、そして湿布など皮膚から吸収される経皮吸収があります。
こうやって見てみると、いかに日常に有害な物質が蔓延していて、しかも私たちはそれを吸収してしまっているということがわかっていただけたかと思います。
少しづつ周りの物を見直して日常からからだにとって有害なものを排除していきましょう。
あなたの健康を願っています。