私は潰瘍性大腸炎という難病になった最初の頃は、精神的にも肉体的にも大変でした。
しかし、病気と上手に向き合えるようになってからは、私は潰瘍性大腸炎になってからの方が人生の質が前よりも上がっていることに気が付きました。
潰瘍性大腸炎や他の難病などを患わずに健康でいるのがもちろん一番幸せな事ですが、コントロールできるようになれば持病というものはそこまで悪いものではないと気付いたので、今回は私が潰瘍性大腸炎になってよかったと思う事をまとめてみたいと思います。
潰瘍性大腸炎になってよかった事
まずはザッと潰瘍性大腸炎になってよかった事を書き出してみます。
- 健康に関する知識が増えた
- 食に関する知識が増えた
- 自炊をするようになった
- 食や健康に詳しい人と出会う機会が増えた
- 楽観的に考えられるようになった
- 挑戦することへのためらいがなくなった
- 後悔しない人生をおくろうと思うようになった
- 人に優しくなれるようになった
- 心と体に無理を強いらなくなった
- 精神を鍛えられる
- 健康の指標
他にもありますが、パッと思い浮かんだだけでも10個以上はありました。
1つずつ説明すると、
まず、「健康に関する知識が増えた」というのは単純に自分で病気を治そうと思ったらたくさんの健康や病気に関する本を読まなければならないので、徐々にそれらに関することに詳しくなりました。
最初は潰瘍性大腸炎に関する本ばかりを読んでいましたが、そこから派生して様々な病気や健康法に興味を持つようになり他の病気に関することも勉強するようになりました。
これでおじいちゃんおばあちゃんと健康関連の話題で会話ができるようになりました(笑)
「食に関する知識が増えた」というのは、健康関連の本を読んでいると自然に、「病気を治すなら自炊をするのが絶対条件の1つ」ということに気付き、自炊をするようになりました。
そしてある程度料理ができるようになれば、どんな場所へ行っても食材さえあれば食べるものに困らなくなり、自分の食べたいものも作れるようになるので、外食に頼らなくても良くなることで食事に関して自由になります。
さらに、自炊をすることの一番のメリットは、自分が何を食べているかを把握でき、調味料の量もコントロールできることです。
私の実家は洋食屋で、外食店の裏側をたくさん聞いてきました。
特にチェーン店はもの凄いです(笑)
外食店の料理は美味しいのが一番の条件です。
そうでないとお客さんは来てくれません。
その為、調味料を多く入れたり、油をたくさん使ったりします。
調味料もほとんどのお店が業務用の低コストで大量生産されているものを使っていますし、その中身も添加物だらけです。
食材の部位も美味しい所しか使いません。
都市部などではオーガニック食材を使っていて、化学調味料無添加で・・・のようなお店がありますが、そこまで行くのが大変な人にとっては、自炊をした方が時間も金銭的なコストもかかりません。
自炊をすれば、食材を選ぶのもどのような調味料を使うのかも全て自己責任です。
私は、自分で学んで得た食に関する知識、例えばどのように作られた調味料や食材が良いかなどを調べた時は、自炊をすることでその食材を使用し、体に良いか?美味しいのか?などを試すのがとても楽しいです。
「食や健康に詳しい人と出会う機会が増えた」というのは、実は普段周りにいる人でも、健康について話してみると、たまにそういうことに詳しい人がいるというのがわかりました。
病気に関することや、食について意識うをして生活をしている人たちはあまりそのことを多くの人には話しません。
なぜなら特にそういった事を意識していない人に話をしたところで、興味を持たれないからです。
私は、生活していて出会うおじいちゃんやおばあちゃんとは病気に関することで仲良くなることができますし(最初は若いのに何でそんなに病気に詳しいの?と驚かれますが)、主婦の方や女性と話をしても食に関することで話が合うことが多いです。
病気にならなければ食や健康という話題で、そういった人たちと話が合うということはほとんどなかったと思います。
主婦の人と話をしていて、「こういう料理を作ったら子供が喜ぶ傾向がある」
という情報も、私が将来子供を持った時の参考になるのでとても貴重な話になります。
健康について学んでいくと、男性よりも健康意識が高い女性と話が合うことが多いので、男性と話している時とまた違った情報を得られるようになったのが私にとっては大きなことです。
私にとって難病を持って一番と思えるぐらい良かったと思えることが、「物事を楽観的に考えられるようになった」ことです。
生きていると辛い事がたくさんありますが、潰瘍性大腸炎が酷かった時以上に精神的にっも肉体的にも辛い事はなかなか無いので、多少辛いことがあっても、「潰瘍性大腸炎のあの時の辛さに比べたら全然楽だ」と感じられるようになりました。
さらに、私は潰瘍性大腸炎の症状が酷いときに格闘技の試合をして、呼吸ができないくらい苦しくなったことがありました。
この時に、「この状態で格闘技を続けていたら死ぬかもしれない」と思い、今までやってみたかったけど、時間やお金の事を気にしてやらなかったことをチャレンジするようになりました。
あの時の辛さがあったおかげで、「あらゆる物事に対して挑戦することへのためらいが無くなった」のと、「後悔の無い人生を送ろう」とも思うようになりました。
いつ死んでも後悔の無いように、「やりたい!」と思ったことは可能な限りやるようにしています。
例えば、まだ英語も話せない頃から、「英語を話せるようになって外国の様々な女性とデートをしたい!」と思っていたのですが、今では英語もそれなりに話せるようになり、色々な国の女性とデートをすることができました。
潰瘍性大腸炎になってなければ、これはただの夢で終わっていたかもしれません(笑)
他にも出来る限りでずっとやってみたかった事をしてきました。
今でも、どこか遠くの場所でも行きたくなければ少し無理をしてでも行きますし、チャレンジしてみたいことにも何とか時間を作ってチャレンジします。
とにかく、やりたいと思った事に対して、やらずに後悔しないようになりました。
病気になったことで人に優しくもなれました。
今までは病気で苦しんでいたり、社会的に弱者といわれる人に対して、見下したり特に悪い感情を抱いたりとかはしていませんでしたが、そういった人たちを見かけても特に何も思いませんでした。
病気になり、自分が弱者の立場になる経験をしてからは、そういった人で困っているところを見かけたら、可能な限り助けようと思うようになりました。
余談ですが、外国に住んでみて自分が「外国人」になる経験をしてみて、日本に住んでいる外国人の人たちに対しての見方も変わりました。
文化も言葉も違う中で、生活し、働く、ということがいかに大変かを身に染みてわかっているので、多少言葉の解釈の誤解によるミスがあっても、一切イライラしたりすることがありません。
尊敬の気持ちを持って接するようになれました。
先ほど、自分のやりたいことに関しては多少無理をすると言いましたが、病気になってから、心と体に負担となる事に関しては前よりも無理をしないようになりました。
心の面では、やりたくなかったり、行きたくなかったりすることに対して、前でしたらその場の流れに流されて断れなかったりしましたが、今ではそういう時には自分の気持ちに素直に従って断るようになりました。
ネガティブな感情が潰瘍性大腸炎にとって良くないことがわかっているので、ここの部分はかなり意識して変えるようにしました。
日本社会の中での生活は、NOと言いづらい文化ですので、そうすることでとても気持ちが楽になりストレスがだいぶ軽減されました。
私はアスリートとしても生活しているので、もちろんトレーニングで追い込みはするのですが、昔よりは量よりも質を重視するようになりました。
トレーニングは好きでやってることなので無理をするのは仕方ないのですが、例えば、夜更かししなかったり、暴飲暴食したりなどで身体に負担をかけることはなくなりました。
それと、潰瘍性大腸炎になり、精神力がかなり鍛えられました。
普段特に体に不調の無い人は、日常生活では外からかかるストレスしかかからないと思いますが、潰瘍性大腸炎の症状がある時は、移動する時には常にトイレの場所を意識したり、トイレへ行く回数が増えることによって、人や場所に気を遣ったりします。
他にも、食べ物に気を配ったり、お腹の痛みがある場合はそれ自体がかなりのストレスになります。
最初の頃はこれがとにかく辛くて、毎日悩んでいました。
この辛さをなんとかポジティブに捉えるために、病気の症状が出ていて辛い時期は精神の修行だと思って楽しんでいました。
そして、潰瘍性大腸炎は私が体に良くないことをすると私のお腹の調子を乱して教えてくれる、私の体調管理の目安となりました。
私がこういった事をすると体調を崩しやすいというのを参考になれば嬉しいので書くと、
食事の面だと、油っこいものを食べ過ぎた時、牛乳を飲んだとき、小麦製品をたくさん食べた時は調子が悪くなります。
生活の中ですと、風邪や怪我で免疫力が下がった時、睡眠不足の時にはお腹の調子が悪くなります。
他には、急激な緊張感にさらされたり、海外旅行など急激に環境が変わった事によるストレスでも調子が悪くなる確率が高いです。
持病という存在が人生の質を高めてくれた
潰瘍性大腸炎を発症して炎症が酷い時は、どんなことをしていても辛かったです。
そんな時に、「私はこれから先の人生を楽しめるのだろうか」と思い、幸福と人生について色々と調べました。
そんな中で、世界には自分よりもはるかに辛い境遇で生きている人たちがいるのを知り、実際に海外に出て自分の目で見てきました。
ぜひこの写真を見てください。
これはカンボジアSiem Reapという所に旅行に行った際に撮った写真なのですが、この街の一番の歓楽街を夜歩いている時に、華やかにライトアップされた街を歩く先進国から来た旅行者たちが楽しそうに街の写真を撮っていました。
そんな中、1人の少女が裸足でごみ袋を持ってごみを拾い集めていました。
この地元の人と旅行社とのもの凄いギャップを見た時に言葉に表せない程の悲しくて悔しい感情が沸き上がり「将来お金を持ったとしても贅沢をするのは出来るだけ控えよう」と思うようになりました。
この時から私は、出来るだけお金を使わずに幸福を感じるにはどうすればよいかと考えました。
そこで色々と試して私の出した結論は、「勉強をして、その勉強したことが日常生活の中で関連することがあった時に、幸福を感じる」ようになりました。
つまり、学ぶ事でたくさんの事を身につけ、それを日常の中で使うことがある時に幸福を感じるということです。
添加物や食に関する知識を身につけてスーパーに行けばそれだけで楽しいですし、身近にある様々なものの歴史を調べるだけで、目の前の景色が変わります。
外国に関する歴史や文化を学べば、その国の人と出会った時にはすぐに仲良くなれます。
そして、もう一つは自然と触れ合う時間を増やしました。
私は東京で生まれ育ちましたが、海や山、動物をもっと身近に感じるために、福岡に引っ越しました。
今では家の外にある川を眺めて、白鳥を見ているだけで幸せを感じます。
東京というあらゆる「モノ」、が溢れている世界から離れて、先人たちが感謝しながら共存していた、「自然」をもっと身近に感じる生活に変えました。
今はとてもシンプルな生活をしていますが、とても充実しており毎日幸せを感じながら過ごすことができています。
今の生活へ導いてくれたのは間違いなく潰瘍性大腸炎なので、これにはとても感謝しています。
病気になった時はとても辛かったですが、少し落ち着いて自分とよく向き合い、本当に自分の生きたい人生を生きれるようになりました。
もし今何かの病気で苦しんでいて、これを読んでいる人がいたら、諦めずに行動し、自分にとっての幸福を探してみてください。
幸せを感じながら生きていければ、多少辛い事があっても乗り越えていけると思います。
あなたの健康を願っています。